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講演報告:ブロックチェーン EXPO 2024春

Written by Hiroki Morita | Jun 14, 2024 5:16:08 AM

去る、2024年5月22日~24日の3日間、東京ビックサイトで開催された、NexTech Week 2024 展示会の一つである「ブロックチェーンEXPO」の特別講演に招待をされ、川崎重工業株式会社 DX戦略本部 デジタル戦略総括部 デジタルプロセス部 第2課 主事 西剛史さまとSettleMint VP, Asia Pacific and Japan 森田大樹が「企業におけるブロックチェーン活用: ~製造工程でのブロックチェーン活用と、Society 5.0に向けた取り組み~」をテーマに対談形式のセミナーを行い、250名を超える参加者で満席となりました。本記事では、対談内容のハイライトをご紹介します。

川崎重工グループは、2030年ビジョン「つぎの社会へ、信頼のこたえを~Trustworthy Solutions for the Future~」に基づき、DXとブロックチェーンの活用を積極的に推進しています。昨年度のPOCでは、データの非改ざん性を証明するためにブロックチェーン技術を導入しました。このプロジェクトはまだ始まったばかりですが、その可能性は非常に大きく、今後の展開に注目です。


 

川崎重工業におけるDXおよびブロックチェーンの取り組み

川崎重工グループは、2030年のビジョン「つぎの社会へ、信頼のこたえを~Trustworthy Solutions for the Future~」を掲げ、「安全安心リモート社会」「近未来モビリティ」「エネルギー・環境ソリューション」の分野に注力しています。

また、デジタル技術を活用した「Kawasaki DX」で、マーケットインとスピード重視のビジネスモデルとプロセス革新を推進しています。今回ご登壇頂いた西さまの所属されているDX戦略本部デジタルプロセス部は、特にスマートファクトリーの推進に取り組んでいます。

西さまは、2020年頃からブロックチェーンの耐改ざん性に注目し、調査を進めてきました。昨年度、SettleMintと川崎重工業は、ブロックチェーンの製造業への適用を想定し、段階的にブロックチェーンを導入し、エンドツーエンドの実装サービスを検証しました。

ブロックチェーン導入の背景

川崎重工業グループでは、製造現場のデジタル化とデータ活用を進める中で、データの非改ざん性をどうにか証明を模索していました。たまたま参加した生産管理系のアメリカでの国際学会で、アメリカでの製薬会社がサプライチェーンでブロックチェーンを使い薬品の真贋判定を行っている事例を知り、検査データのハッシュ値を用いることで、データの改ざんがないことを証明できると考え、まずは社内での検証を進めることになりました。

ブロックチェーン活用の課題

ブロックチェーンの活用を検証の構想はあったものの、社内には適切な組織や知見、ナレッジ、実装力が不足していたことが最大の課題となりました。そんな中、2023年度のブロックチェーンEXPOで偶然出会ったSettleMintに構想を話したところ、「爆速での実装」の魅力に引かれ、さらに「小規模で短期間のPOC実施」という要件にも合致したため、まずは小規模検証から始めることにしました。

今後の取り組みについて

昨年度のブロックチェーン導入POCの際、事業部のネットワークから外部へのデータアップロードにはセキュリティ審査が必要で時間がかかるため、本社ネットワークを通じてSettleMintが構築したAzure環境に手動でCSV形式のデータをアップロードしました。

「昨年度の取り組みでは、手動でのデータアップロードという方法を取らざるを得ませんでした。しかし、これでは効率が悪く、今後のプロジェクトのスピードにも影響を与えます。次のステップとして、データアップロードの自動化を最優先で進めていきたいと考えています」と西さんは語ります。

次のステップでは、事業部環境から直接本社のAzure上のブロックチェーンネットワーク、またはSettleMintのAzure上のブロックチェーンネットワークにデータをアップロードし、処理速度や運用の安定性を評価する予定です。

「自動化されたデータアップロードを実現することで、業務の効率化とセキュリティの強化を図りたいと考えています。また、事業部の環境から直接データをアップロードし、その処理速度が実際の運用に耐えうるかを確認することが次の大きな目標です」と西さんは述べています。

この自動検知の実証試験の結果を基に、本社研究部門の上層部に提案し、トップダウンプロジェクトとして進める意向です。「この試験の成果をもとに、上層部に提案を行い、組織全体での取り組みとして進めたいと考えています。品質データの改ざん防止や検知だけでなく、企業間データ連携の観点からもブロックチェーンの有効性を評価し、さらに活用していきたいです」と語ります。

西さんは、将来的にはブロックチェーンを用いた企業間データ連携にも大きな期待を寄せています。「ブロックチェーンの導入によって、データの透明性と信頼性を確保し、品質データの改ざん防止や検知を実現したいと考えています。さらに、企業間でのデータ連携においても、ブロックチェーンの有効性を評価し、活用していきたいです」と話しました。

川崎重工グループのブロックチェーンプロジェクトはまだ始まったばかりですが、その可能性は非常に大きいと言えます。今後の展開に注目です。

講演終了後の反響

講演終了後、製造業をはじめとする多くの企業様から、ご質問や今後のコラボレーションに関するご要望を頂きました。川崎重工業様の先進的な取り組みを含め、SettleMintではブロックチェーンを活用したトランスフォーメーションを推進していきます。詳しいご質問やご要望ございましたら、以下までご連絡ください。

 

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